【KOBASHIグループ】知識製造業へのシフトがもたらす地域中小企業の進化/日本で誰もやっていない挑戦がこの会社にはある(中途社員鼎談)

2024.03.11

1910年創業の農業機械メーカー・小橋工業を母体とする岡山のKOBASHIグループ。現在、同グループには大手メーカー出身者、コンサル出身者、注目のスタートアップ出身者など、従来の小橋工業にはいなかったタイプの人材が次々に集結している。彼らは、なぜ入社を決めたのか。どこに将来性を感じたのか。2020年以降に中途入社し、グループで要職のポジションを務めている3人に、KOBASHIを選んだ理由と今後の展望を語ってもらった。

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KOBASHI HOLDINGS株式会社 経営統括部執行役員/KOBASHI ROBOTICS株式会社 CSO 坂下 翔悟 氏 
株式会社ミキモトに入社し、ダイアモンドのバイヤーとして王族皇室向けの調達業務に従事。その後、東日本大震災での復興事業の立ち上げを経験。2015年株式会社ミスミに入社。開発、生産、販売を経験し、ECでのマーケティングやプロモーションにも精通。事業戦略の立案にも従事。2020年より現職。グループ全体の事業戦略立案・遂行を担当。理念「地球を耕す」を体現すべく、中核事業である農業機械事業に加え、スタートアップへのモノづくり支援事業や地域新産業創出事業などを務める。

KOBASHI ROBOTICS株式会社 COO/小橋工業株式会社 執行役員調達部長 手塚 裕亮 氏
メーカー2社にて製造、生産技術、調達、通関、工場経営、ERP切り替えと多岐にわたり経験を積む。 その後、製造業専門のコンサルタントとして知識・経験の深化/体系化を経て、 2016年9月よりラクスル株式会社に参画。 印刷パートナーとの関係を担い、SCM部長、印刷事業部長に従事。2019年からは同社TVCM事業部(現:ノバセル株式会社)のメディアバイイング管掌、SaaS事業部長・経営企画部長として事業立上に関与、株式会社ADKマーケティングソリューションズとの提携等を推進。 2021年12月、製造業への再挑戦としてハードウェアスタートアップの支援を行うKOBASHI ROBOTICS株式会社に入社。 2022年7月より同社執行役員COOに就任。同時に、小橋工業株式会社 執行役員調達部長を兼務。

KOBASHI ROBOTICS株式会社 知識製造部 部長 稲田 和也 氏
国内自動車メーカーにて、エンジニアとして触媒開発、組み込み制御開発、適合業務などを経験。その後、国内コンサルティングファームにてコンサルタントとして製造業向けに企画支援、業務プロセス改革支援などを実施。2022年KOBASHI ROBOTICS株式会社に入社し、現在は知識製造部部長として、スタートアップ向けのモノづくり支援事業に従事。

これほど先進的な企業が地域にあったのか

坂下 転職エージェントから紹介されるまではKOBASHIのことを知りませんでした。まずは話を聞いてみようとコンタクトを取ったのがKOBASHI ROBOTICS(以下、ROBOTICS。2020年設立。KOBASHIがメーカーとして培ってきたノウハウ・リソースにより、試作開発から量産・メンテナンスまで、モノづくりの各プロセスを包括的に支援する次世代型ものづくりプラットフォームサービスを展開している)が設立されるタイミングで、代表の小橋に会ってみると「地球の課題を本気で解決するために、これからスタートアップのモノづくり支援を行います」というビジョンを高々と掲げていました。そして夢を語るだけではなく、それを実現するためのノウハウとアセットが100年の歴史で蓄積されており、実際に行動も起こし始めている。ここなら絶対に面白いことができるはずだ、と確信しました。

手塚 私も同じくエージェント経由です。自分のキャリアは大手メーカー2社の後にコンサル、ITスタートアップというもので、大小さまざまな規模の製造業を一通り経験してきた全てを、KOBASHIなら生かすことができそうだと感じました。また、財務的にも盤石で、会社として中長期の投資が可能な状態だと推測できました。そのうえでROBOTICSの構想を知って、「これは自分たちで製造業をやりながら、産業構造自体を変えようとするチャレンジだ」と感じたんです。それまでの経験から、産業そのものに大きな変化を起こせるのはコンサルや支援機関ではなく「中の人」だけ、という確信がありました。KOBASHIはまさにそのポジションで、私にとっては大きな魅力に映りました。

稲田 私は出身が愛媛の山の中ということもあって、豊かな自然をいかにテクノロジーで守ることができるか、という課題意識をずっと持っていました。それで、やはり私もエージェント経由でKOBASHIを知ったときに、まず「地球を耕す」という理念に強く共感しました。そして、その理念に基づいて、大手企業が手を出していない「モノづくり支援」に岡山の中堅企業が挑戦していることに強い好奇心を持ったんです。しかも、代表の小橋自身の言動がそのコンセプトから全くぶれていない。この人の会社で働くのは面白そうだなと素直に思えましたし、社会を変えていく最前線からは一体どんな景色が見えるんだろう、と本当にワクワクしました。

坂下 KOBASHIの市場シェアと財務状況からすれば、そのまま事業を続けても少なくとも30年はもつはずです。ところが小橋は「このままでは明日にも潰れてしまう」という強烈な危機感でさまざまな行動を起こしていました。100年の歴史と強固な基盤がありながら、スタンスはスタートアップそのもの。当時の自分は、地域にそんな企業があるとは思いもしなかった。本当に衝撃的でした。

KOBASHIは新しいことへの許容度が高い

稲田 入社して良い意味で驚いたのは、会社全体の「新しいこと」への許容度が高い点です。これまで見てきた会社では、新しいことを始めた人が「なんだあいつは」という目で見られることは珍しくありませんでした。しかしKOBASHIでは「こういうことで少し困っています」「こういうお願いをすることはできますか」と相談をすると、誰もが丁寧に話を聞いてくれます。些細なことのようですが、これは本当に新鮮だったし、ありがたかった。

手塚 わかります。外の世界を経験してきた人間としては、KOBASHIの強みと同時に、弱い部分も見えるわけです。それを中途社員に指摘されるのは、愉快なことではないはずです。ただこの会社では、ロジックできちんと説明すれば、しっかりと理解をしたうえで議論に応じてくれる。これはKOBASHIの大きな特徴ではないでしょうか。

坂下 それは企業文化によるものだと思います。小橋工業は世界大戦前の1910年に鍛冶屋として始まったわけですが、創業者には「自分たちの技術は人々を傷つける武器ではなく、生活を豊かにする農具のために使う」という明確な考えがあったといいます。「社会課題を解決する」という企業文化が根付いているからこそ、中途社員のことも「課題解決に取り組む新しい仲間」として受け入れてくれる。理念が「地球を耕す」に再定義され、新たな事業も始まっていますが、根本の部分では何も変わっていないのでしょう。時代に合わせたアップデートは必要だが、基本的には愚直に課題解決に取り組み続けるのがKOBASHIだ、という文化を強く感じます。

手塚 そしてKOBASHIは非上場だからこそ、それらの企業文化や経営理念を軸とする判断を貫くことができる。これもまた大きな強みだと思います。

岡山から日本の製造業そのものを変えていく

稲田 そんなKOBASHIだからこそ、ROBOTICSのモノづくり支援事業をしっかりと拡大させて、経営の新たな柱にしていきたいと強く感じています。ROBOTICSの成長に伴って生まれる新たなノウハウを、グループ全体の利益につなげることはもちろん、その先に存在する外部のサプライヤーやパートナーにも拡大させることで、岡山全体を盛り上げるようなうねりをつくりだしていきたいですね。最終的には、日本の製造業全体に「モノづくりを新しい方向にシフトしよう」という動きを広めていければと思います。

新生KOBASHIの象徴であるKOBASHI ROBOTICS、2020年に設立

坂下 私には、モノづくりの価値が社会ではまだまだ低く見積もられているという問題意識があります。従来の製造業の「背中で語る」的な美徳が、一方で価値の言語化を後回しにし、結果的に「適切な評価がされない」という負の要素をもたらしているのかもしれません。ROBOTICSが先頭に立って新たな実績をつくりながら、しっかりとその価値の言語化と発信をしていくことで、モノづくりの価値が適切に再評価される社会を作っていきたいです。そして「課題解決に取り組むことがしっかりと利益にもつながっていく」という新たな常識をつくることがわれわれの使命だと思います。

手塚 KOBASHIは中長期の視点でそこに挑むことができる組織ですよね。仲間の協力を得ながら、これからも新しい取り組みにフルスイングしていきましょう!